組体操事故と学校の法的責任

Category - 未分類 作成者:友弘 克幸

運動会の季節になりました。

ところで、最近、「組体操での事故」について報道を目にすることが増えたように思います。

私も小学校で「組体操」をやった記憶がありますが、せいぜい3段くらいだったと思いますが、

最近は、10段などという巨大な組体操をする学校もあるとのことで、驚きです。

 

ところで、組体操の練習や本番のとき、事故が起こって生徒がケガをした場合、誰が、どのような法的責任を負うのでしょうか。

まず刑事としては、指導にあたった教師などが、「業務上過失傷害罪」(刑法211条)に問われる可能性があると考えられます。

刑罰としては、「5年以下の懲役もしくは禁固、または100万円以下の罰金」が課される可能性があります。

 

民事としては、指導にあたった教師などに過失が認められる場合、学校側は、ケガをした生徒に対して損害賠償責任を負うことになります。

私立の学校であれば、「民法」が適用されますので、指導にあたった教師や、当該学校を運営している学校法人が責任を追及されることになるでしょう。

公立の学校であれば、「国家賠償法」という法律が適用されますので、学校を設置した自治体(都道府県や市区町村)が責任を追及されることになります。

過去の裁判例としては、次のようなものがあります。

公立小学校の組体操の練習中に、当時6年生の児童が4段ピラミッドの最上位から落下し傷害を負った事故につき、「体育の授業は、積極的で活発な活動を通じて心身の調和的発達を図るという教育効果を実現するものであり、授業内容それ自体に必然的に危険性を内包する以上、それを実施・指導する教員には、起こりうる危険を予見し、児童の能力を勘案して、適切な指導、監督等を行うべき高度の注意義務があるというべきところ、教員には注意義務を怠った過失があった」として自治体(名古屋市)に慰謝料など110万円あまりの賠償が命じられた事例(名古屋地裁平成21年12月25日判決・判例タイムズ1333号141頁)

区立小学校において運動会の種目として行う組体操の練習をしていたところ、当時6年生の児童が転落して傷害を負った事故につき、「相当程度の危険性が認められる5人技を組体操のプログラムの一つとして採用するにあたっては、担当教諭らは、中央の児童がバランスを維持することができるように、倒立等の仕方について、各役の児童に対し適切な指示を与え、それぞれの児童がその役割を指示どおり行えるようになるまで補助役の児童を付けるなどしながら、段階的な練習を行うなど、児童らの安全を確保しつつ同技の完成度を高めていけるよう配慮すべき義務を負っていた」として、区に慰謝料など160万円あまりの賠償が命じられた事例(東京地裁平成18年8月1日判決・判例タイムズ1243号248頁)

県立高校の体育の授業として8段の人間ピラミッドを練習中、6段目が上がりかけたところでピラミッドが崩落し、最下段中央部の生徒が下敷きとなり、頸椎骨折等の傷害を負った事故について、学校長、指導教諭らの過失が認められ、県に1億円あまりの賠償が命じられた事例(福岡高裁平成6年12月22日判決・判例タイムズ879号 236頁)