10/25 パワハラに関する書籍紹介

Category - 書評 作成者:友弘 克幸

先日、「パワハラ」の講演を準備するにあたって、書籍をかなり読みました。

講演では1冊ずつ紹介する時間がなかったので、忘れないうちに、ここで紹介しておこうと思います。

1.水谷英夫著「職場のいじめ・パワハラと法対策〔第3版〕」(2010年12月、民事法研究会)

著者は弁護士。パワハラに関する本をどれか1冊、と言われたら迷いなくこれです。

被害を受けたときの対応方法(法的対応)が詳しく述べられているほか、加害者・使用者側へのアドバイスもあります。

海外のパワハラ対策立法の動向についても詳しく紹介されています。

2.岡田康子・稲尾和泉著「パワーハラスメント」(2011年10月、日経文庫)

著者の岡田氏は、2001年に日本で「パワーハラスメント」という概念を初めて造った方で、著書でもその背景について述べられています。

パワハラはなぜ起こってしまうのか、起こらないようにするためにはどうすればよいのか、など、どちらかというと雇用主・管理職へのアドバイスになりそうな内容が中心ですが、労働者側の立場で読んでも、大変参考になります。

3.道幸哲也著「パワハラにならない叱り方─人間関係のワークルール」(2010年10月、旬報社)

著者は著名な労働法学者。

パワハラの問題を法的に検討する上で、「労働者の人格権」という概念は非常に重要ですが、この本では、セクハラ裁判との関係を紹介しつつ、裁判所がその概念を確立してきた経緯やその意義が分かりやすく解説されています。

4.大内伸哉著「君は雇用社会を生き延びられるか─職場のうつ・過労・パワハラ問題に労働法が答える」(2011年10月、明石書店)

このブログでは何度も紹介している神戸大学の大内先生の本。タイトルのとおり、パワハラだけではなく、職場における過労やメンタルヘルスの問題を幅広く解説しています。

法律家でない一般の方々に読まれることを想定して、「一家の大黒柱であった夫が過労のためくも膜下出血で亡くなってしまい、子供2人とともに残された妻(37歳)」を登場させ(もちろんフィクションですが)、その妻の視点から、労災の補償の内容や企業に対する民事責任に追及、日本の労働時間規制の問題点などを解説している点が特徴です。

実は、個人的には、「君は」が上から目線な印象だし、「生き延びられるか」というのもおどろおどろしくて、タイトルがあまり好きではないのですが、内容はとても良いです。

5.君嶋護男著「ここまでやったらパワハラです!裁判例111選」(2012年5月、労働調査会)

著者は、厚生労働省で男女雇用機会均等法の施行に関わり、その後労働基準局長や労働局長などを歴任した方。

タイトルのとおり、「パワハラ」が問題になった111つの裁判例(もちろん、その中には、「パワハラ」という言葉が生まれる前の裁判例もあります)を紹介しています。

単に裁判所の判断を紹介するだけではなく、「この裁判例からはこういう教訓が読み取れる」とか、「この裁判例のこの判断は疑問である」とか、著者自身の視点による解説が添えられているのも、参考になります。

ちなみに、「111選」には、「いじめ、いやがらせ、いっそう(一掃)」の願いが込められているそうです。

6.21世紀職業財団「増補版 わかりやすいパワーハラスメント裁判例集」(2011年6月)

こちらは、52事件の裁判例の要旨を紹介しています。

5と異なり、事件ごとの解説というのはありませんが、その分、生の判決文が詳しめに引用されていますので、「あれってどんな事件だったかな」と調べるにはとても便利です。

7.金子雅臣著「パワハラ・いじめ 職場内解決の実践的手法」(2013年1月、日本法令)

今回紹介する中では最も最近出た本です。

パワハラについては、2012年1月、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ」が報告書を公表していますが、この本ではその内容を詳しく紹介したうえ、その「問題点」についても指摘されています。

★また、良い本があれば、追加して紹介したいと思います。