10/4 チョー面白い労働法の教科書

Category - 書評 作成者:友弘 克幸

何これー!チョーウケるー!これが教科書って、面白くない?(語尾を上げて)

・・・という感じで紹介したくなる、すごく面白い労働法の教科書を見つけてしまいました。

森戸英幸先生(慶応大学大学院教授)の、

「プレップ労働法(第4版)」(2013年9月15日発行、弘文堂、2000円+税)です。

文章がとにかく面白いのです。

だいたい、冒頭の「第4版のはじめに」からして爆笑ものです。

「2011年の第3版刊行後2年半余りが経過し、〔建前〕この間、有期労働契約に関する労働契約法の改正、注目すべき最高裁判例の登場などもあったため、〔本音〕遊ぶ金が欲しかった、どの本でもよかった、第4版を刊行することとした。

スリムでちょっと小脇に抱えるとオシャレな厚さだったのは初版のみ。その後版を重ねるにつれてのバルクアップは避けられなかった。このままだと第4版はかぎりなく立方体に近づくのではないか、オマエはコロコロコミックかという懸念もあったのだが、今回1ページあたりの字数を増やすという裏技?偽装?により、ほんの少しだが第3版よりも減量に成功した。」

・・・「遊ぶ金が欲しかった」って(笑)! 「オマエはコロコロコミックか」って(笑)!

もちろん、中身の説明文もとても「法律の教科書」とは思えない調子です。

たとえば、普通の教科書だったら

「立法過程でその内容や文言をめぐって労使が激しく対立し、一時は成立も危ぶまれた『労働契約法』であったが、ようやく2007年に成立し、2008年3月から施行された」

と書くようなところを、この教科書だと、

「すったもんだあって(・・・・・・そのため『小学生でもわかる労働契約法』みたいな本をサクッと出そうとしてたセンセイたちは当時眠れない日々を過ごした)ようやく2007年に成立した労働契約法が、2008年3月から施行されている」

となります(笑)。

もう一つ、すごく面白いのは、説明の中に、「コント」みたいなやり取りが入るのです。

たとえば、労働契約法7条本文は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているのですが、条文だけ見ていても全然イメージがわかない。

そこで、この教科書では、条文の紹介のあとに、唐突に次のようなコントが始まります。

 

新人「さてと、お昼も食べたしー、トイレでこっそり一服もしたしー、午後の仕事の前に昼ドラ見ないとだわ。アタシ実は毎日これ見ないと生きていけないのよねー」

課長「オイ、なにぼやぼやしてるんだ、仕事だぞ!」

新人「えっ?(>_<) でもまだあと15分あるんじゃあ・・・・」

課長「ウチは12時45分から始まるんだよ、就業規則にもちゃんと書いてあるだろ」

新人「そんな・・・知らなかった・・・・(あとで転職支援会社に電話!)」

 

もう、これ以上の分かりやすい説明はないんじゃないでしょうか。

実は、このあとに、「就業規則の変更による労働条件の変更」(労働契約法10条本文)、就業規則の変更によって変更されない労働条件の合意」(労働契約法10条ただし書き)のコントが続いて、全部で「3段落ち」みたいになっているのも感動モノなのですが、それはぜひ実際にこの本に当たってみてください。

実は、「就業規則」に関する労働契約法7条、10条というのは、条文を見ていただければわかりますが、頭がごちゃごちゃになってしまうような内容で、説明もしづらい内容なのです。

それを、「昼ドラ」を使ってこんなに分かりやすく説明してしまうとは、本当にすごいです。

ちょっとふざけているようでいて、実は本当によくよく考えられている、すばらしい教科書だと思います。

・・・それにしても、実は私、ここ数日の間、この教科書を通勤の電車の中で読んでいたのです。

「労働法」の教科書(表紙はブルー一色で、どう考えても堅そうな本にしか見えない)を読みながら、くすくす笑っている私は、さぞかしブキミに見えたことでしょう・・・

皆さんも、この本を読むときは周りの視線に注意してくださいね!