11/12 出向命令権の濫用

Category - 最近のニュースから 作成者:友弘 克幸

東京地裁が12日、リコー社員2名に対する出向命令を無効とする判決を出した、というニュースがありました(毎日、朝日)。

報道によれば、判決で裁判所は、

「出向命令は(経営上必要な)固定費削減が目的とは言い難く、原告の自主退職を期待して行われた。人選の合理性も認められない」

と指摘したそうです。

出向と言えば、「片道切符の島流し」なんていうフレーズがこの夏、やたらと印象的に残りましたが(そう「半沢直樹」です)、決して、企業の好き勝手に命じることのできるようなものではない、ということですね。

ただ、出向命令権の濫用が認められた裁判例というのは、実はそれほど多くはないようですね。おそらく、出向の有効性について争われているケース自体が少ないのだろうと思いますが。

ざっと調べたところ、平成に入ってからの裁判例で出向命令権の濫用を認めたものとしては以下のものが見つかりましたが、いずれも20年以上前の裁判例です。

ゴールド・マリタイム事件(大阪高裁H2.7.26、最高裁H4.1.24で確定)

「管理職としての適性を欠くと認識していた労働者を、出向という手段を利用して職場から放逐しようとしたものであり業務上の必要性、人選の合理性は到底みとめられない」として出向命令を無効と判断。

新日本ハイパック事件(長野地裁松本支部H元.2.3決定)

作業ミスをした労働者に対する「再教育のための研修」を理由とする出向命令につき、合理的理由の不存在、労働者のこうむる生活上の不利益の大きさ等を理由に権利濫用と判断。

ちなみに、現在では、労働契約法14条が

「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする」

と定めています。

これは、「労働契約法」という法律ができる前からの判例法理を明文化したものだと理解されています。

詳しくは、大阪労働者弁護団編「活用しよう労働契約法 第2版」をご覧ください。(←今日の話題は、実はここにつなげたかったのです。スミマセン・・・)