11/16 改正労働契約法への企業の対応

Category - 最近のニュースから 作成者:友弘 克幸

★11月12日、独立行政法人労働政策研究・研修機構(菅野和夫理事長)が、

「高年齢社員や有期契約社員の法改正後の活用状況に関する調査」の結果(速報版)を公表しています。

改正労働契約法18条(2013年4月1日施行)による影響についてはかなり関心を持っているのですが、非常に興味深い結果となっています。

★改正労働契約法18条は、有期雇用契約が5年を超えて反復更新される場合に、労働者に無期労働契約への転換権を付与するという新しい制度(いわゆる「5年ルール」)を導入しました。

この制度の趣旨は、「いつ雇止めになるか分からない」という不安定な地位にある期間雇用労働者の契約を、「期間の定めのない労働契約」に転換させることによって、その地位を安定させ、安心して働けるようにしようとする点にあります。

ただ、一方で、このような制度ができたことによって、「無期雇用」への転換をいやがる企業が、通算契約期間が5年を超える前に期間雇用労働者を雇止めする動きが拡がるのではないか、という副作用も懸念されているところです。

つまり、

「改正法のおかげで無期雇用に転換できた!(^^)」

という人よりも、

「改正法ができたせいで、僕は雇止めされちゃったよ・・・(;_;)」

という人のほうが多くなってしまうのではないか、という心配が指摘されているのです。

★で、今回の調査結果では、この改正法18条に対する対応(今年7月1日時点)を企業に尋ねたそうです。

回答のあった7179社のうち、「対応方針は未定・分からない」が4割弱。

これは、おそらく「他の企業はどうするんだろう」という様子見組かなと思います(いかにも日本らしいですねえ)。

いっぽう、

「通算5年を超える有期契約労働者から、申し込みがなされた段階で無期契約に切り替えていく」

との回答は、フルタイム契約者で28.4%、パートタイム契約労働者で27.4%あったということです。

これらは、改正法18条をそのまま受け入れようという対応ですね。

そして、個人的にはちょっと驚いたのが、

「適性を見ながら、5年を超える前に無期契約にしていく」

と答えた企業がフルタイム契約者で12.8%、パートタイム契約労働者について7.0%あったという点です。

要するに、「労働契約法18条で決まってるし、5年経ったら、まあ仕方ないよね」といって無期契約にするのではなく、「良い人材なら、5年経たなくても、さっさと無期契約にするよ」という企業もそこそこ存在するということです。

その理由は、どんな点にあるのでしょうか。

調査では、「有期契約労働者を無期契約に転換するメリットをどう考えるか」という質問に対して、89.7%の企業が何らかのメリットがあると回答し、その中で最も多かったのは「長期勤続・定着が期待できる」(61.2%)で、次が「有期契約労働者の雇用に対する不安感を払しょくし、働く意欲を増大できる」(56.5%)という回答だったそうです。

要するに、良い人材を確保して、高いモチベーションをもって働いてもらうには、やはり「有期雇用」ではダメなのだ、という当たり前のことについて、まともな経営者ならちゃんと気づいているのです。

★調査方法は郵送による調査票の配布・回収で、有効回収率35.9%(回収数7179件)だそうなので、全ての企業の考えを反映しているとはもちろん言えないでしょう。

また、改正法を「いまいましい改正だな(-“-)」と思っている企業は、そもそも調査にも協力しなかったのではないか、とも思えます。

それに、実際に改正法18条に基づいて無期転換権が発生するのは最も早いケースでも2018年4月1日以降のことですので、まだまだ予断は許しません。今回の調査では前向きな回答をしていても、今後、後ろ向きな姿勢に転じる企業も出てくるかもしれません。

しかし、改正法18条を「負担の増大」とマイナスに考えるのではなく、「良い人材を確保し、仕事へのモチベーションを上げるきっかけ」と肯定的に捉える企業も意外に多そうだ、ということは言えるのかもしれません。

そのように前向きに考えられる企業が、今後さらに増えてくれればよいのですが。