11/9 日本労働弁護団の全国総会に行ってきました

Category - 未分類 作成者:友弘 克幸

昨日(11月8日)、福井・あわら市で行われた日本労働弁護団第57回全国総会に参加してきました。

事情があって、8日~9日の日程のうち、私は8日だけしか参加できなかったのですが、やはり全国から労働弁護士が集まる最大規模の会合ということで、とても良い刺激になりました。

記念講演として、根本到先生(大阪市立大学教授)の「雇用規制緩和と労働者の権利擁護」と題するご講演がありました。

安倍政権が進めようとしている「雇用規制緩和」について整理し、その問題点を指摘するという内容でした。

盛りだくさんの内容でしたが、とりわけ、派遣法の改正動向に関するお話が、非常に勉強になりました。

EU派遣指令(2008)やドイツ派遣法(2011)では「派遣は臨時的である」との規定が定められていることについてのお話がありましたが、それが法解釈や実務に具体的にどのような影響を与えているのかについては、今後、より詳しく勉強してみたいと思いました。

また、現在の日本では、派遣労働者が労働組合を結成し、あるいは労働組合に加入して、派遣先に団体交渉を申し入れた場合、派遣先が労働組合法上の「使用者」(労組法7条)に当たるかどうか、によって団交に応ずる義務があるかどうかが決まるという形になっています。

「使用者」(労組法7条)の概念の解釈については、有名な朝日放送事件の最高裁判決(1995年)がありますが、その射程範囲がどこまでか、ということを始め、解釈上曖昧なところがかなり残っていて、どんな場合に派遣先企業が「使用者」に当たるかについては、モヤモヤした状態が続いているのが実情です。

根本先生は、端的に、派遣先企業は派遣労働者の労働組合からの団体交渉に応ずるべき、と労働者派遣法に盛りこむべきではないか、という問題提起をされた(と私は理解している)のですが、確かに、それはそのとおりだなと思いました。

実は、この問題って、労働者派遣法が制定されたとき(1985年)から、国会では議論はされたものの、結局、「労組法7条の解釈問題だから派遣法マターではない」というようなことで、放置されたようです。

しかし、派遣労働者の労働条件や就労環境は、派遣元ではなく、派遣先企業こそが実質的に支配しているのですから、派遣先が団交義務を負うとするのが、自然な形だと思います。

また、最終的に「労組法7条の使用者に当たる」と判断されるにしても、「使用者に当たるかどうか」という入口のところで団交を開始できず、何年も労働委員会で争わなければならないというのは、派遣労働者・労働組合にとっての負担があまりに重すぎると思うのです。

こういう法改正の提案が仮になされたら、派遣を利用したい企業側からは、猛烈な抵抗が起こるでしょうけどね・・・。

ちなみに、これはご講演では特に触れられませんでしたが、派遣先の団交応諾義務に関しては、国・中労委(クボタ)事件・東京地裁H23.3.17労働判例1034号87頁というものがあります。

これは、派遣先が派遣労働者の直接雇用化を決めた後に、派遣労働者を組織する労働組合が、直雇用化後の労働条件等について派遣先に交渉を求めたという事案で、裁判所は、「労働契約関係ないしはそれに隣接ないし近似する関係」を根拠に、派遣先は団交申し入れに応ずるべき使用者に当たる、と判断しています。