12/16  「15歳からの労働組合入門」

Category - 書評 作成者:友弘 克幸

東海林 智(とうかいりん・さとし)さんの

「15歳からの労働組合入門」 (毎日新聞社) を読みました。

変わったタイトルに惹かれて購入してみたのですが、すごく良い本でした。

 

「労働組合って何?」「労働組合に入るって、何のメリットがあるの?」と考えている

若い方に、ぜひ読んでほしい本です。

 

著者は1964年生まれ、毎日新聞の記者さんです。

本文を読むと分かるのですが、新聞労連の委員長なども務められた方だそうです。

 

本の帯には、

「もはや、労働組合がなければ生きていけない。

心と体を破壊される派遣労働者、ダブルワークの高校生、

秋田書店景品水増し不当解雇事件、カフェ・ベローチェ雇止め事件、

過労死、学生ユニオンの闘い・・・

若者労働者たちの過酷すぎる生を涙と怒りを込めて告発し、

労働組合の新たなヴィジョンを伝える画期的ルポルタージュ。」

とあります。

 

就職氷河期に正社員として就職できず、派遣として働いたものの「モノのように」

派遣切りされた男性が、労働組合との出会いを通じて人とつながり、

働く尊厳を取り戻してゆく過程とか、

東京メトロの売店で働く非正規(有期雇用)の女性たちが、

正社員との差別待遇の是正を求めて「ストライキ」を断行する話とか、

ガソリンスタンドの労働者たちが、

組合つぶしの破産申し立てに対抗して職場を占拠して自ら職場を再建してしまった話とか、

「労働組合ってすごいぞ」と思える話がたくさん出てきます。

 

また、

2008年末の「年越し派遣村」のとき、

女性の派遣労働者たちはどのように年を越したか、という、

あまり知られていないような話も出てきます。

 

取材に応じた労働者たちは、いずれも、かなり大変な状況にある人たちばかりです。

 

普通に考えると、大きな新聞社の記者さん(もちろん正社員)に対して、

なかなか話しにくいこともあるのではないでしょうか。

 

しかし、この本を読むと、登場した労働者たちは、

著者に対して不思議なくらい心を開いて、

いろいろなことを話しているのが分かります。

 

それは著者が、全ての「働く人々」に対して、限りない共感と連帯感を持って、

取材に当たってきたこと、そしてその結果として、

取材を受ける人たちと強い信頼関係を築きえていることの結果だろうと思います。

 

優れたルポルタージュであるとともに、読み終わった時に、

希望と勇気が湧いてくる本です。