2013/7/13 労働組合法を学ぶ!

Category - 書評 作成者:友弘 克幸

今回は、

① さいきん労働組合に入った

② さいきん労働組合の役員に選ばれた

③ さいきん労働組合を自分たちで作った(!)

という方で、これまであまり労働法や労働組合になじみがなかった、という方を念頭に、

労働組合法に関する書籍(私のおすすめのもの)を5点、紹介させていただきます。

他にも良い本が見つかれば、随時、追加してゆこうと思います。

1.大内伸哉著「改訂 君たちが働き始める前に知っておいてほしいこと」(2011年8月、労働調査会出版局、800円+税)

難易度 ★(とても易しい)

別の投稿でも紹介しましたが、労働法(ワークルール)全般について、とても分かりやすく説明されています。

労働組合法についての記述は一部だけですが、労働組合の活動をするうえで、労働基準法や労働契約法についてのも最低限の知識は必要になりますので、読んでおいて決して損はない本です。

2.大内伸哉著 「経営者のための労働組合法教室」(2012年11月、経団連出版、1600円+税)

難易度 ★★(易しい)

神戸大学で労働法を研究し、兵庫県労働委員会の公益委員も務める著者が、「経団連タイムス」での連載をもとに加筆したという書籍。

タイトルだけをみると「労働組合法対策」を経営者に指南するマニュアル本のようですが、中身はまったく逆で、

労働組合法を遵守することは、経営者にとっての最低限の責務であるだけでなく、良い経営のための要諦であって、『経営者のため』になるということだ」(はしがき)

というのが著者のメッセージなのです。

文章も読みやすく、174ページという分量ながら、労働組合法のポイントがきちんと押さえられている好著です。

3.宮里邦雄 著「不当労働行為と救済 労使関係のルール(問題解決 労働法12)」(旬報社、2009年6月、2000円+税)

難易度 ★★★(中級)

日本労働弁護団の会長を務めた著者(弁護士)が、その豊富な経験を踏まえて、労働組合向けに書いたもの。

実務家の著作らしく、「どこの労働委員会に申立をすればよいか」「係争中にもかかわらず組合員に対する脱退工作が繰り返されている場合はどうすればよいか」など、実際に労働委員会の手続を使う際に役に立つ内容が詳しく説明されています。

4.大阪労働者弁護団編「活用しよう労働委員会 理論と実践Q&A 働く人たち、労働組合にこの一冊」(耕文社、2007年10月、1905円+税)

難易度 ★★★(中級)

タイトルのとおり、労働委員会を利用しようとする労働者、労働組合のために書かれた本です。Q&A方式のため、必要なことをダイレクトに調べることができて便利です。「不当労働行為救済申立書」「実効確保の措置申立書」など、書式編も充実しています。また、労働組合法や労働委員会規則などの巻末資料も充実しています。

・・・実は、私の所属する大阪労働者弁護団が出している本です(私も一部執筆してます)。手前味噌ですみません。でもよくできた本ですよ。

5.西谷 敏 著「労働組合法 第3版」(2012年12月、有斐閣、4100円+税)

難易度 ★★★★(上級)

日本を代表する労働法学者であり、奈良県労働委員会の公益委員でもある西谷先生が書かれた体系書です。

日本の労働組合法に関する最高峰の体系書です。

内容的には上級者向けではありますが、文章の端々から、西谷先生の、労働組合への愛とエール(そして、叱咤激励も・・・)が感じられる一冊です。

この本から、私が大好きな一節を引用して、今回の投稿の締めとさせていただきます。

「労働者の団結権、団交権、団体行動権を保障した憲法28条は、いうまでもなく労使の利害の対立を前提としている。そして、その利害の対立は、団体交渉と、それが行き詰まったといの争議行為によって解決、調整されるほかないというのが憲法の基本的な前提である。このことは、憲法28条を率直に読むかぎりしごく当然のことであるが、実際に争議行為が大幅に減少し、大企業では団体交渉なしの労使関係さえ稀でないという現実の下で、ともすれば忘れられがちである。

現実に望ましい労使関係像として、「健全」、「正常」、「成熟」などの形容詞が付されるが、そこではしばしば、争議行為が発生しない労使関係、場合によっては団体交渉さえ行われず労使協議で代替されるような労使関係が含意されている。しかし、憲法の趣旨に合致した「健全」な労使関係は、決して対立や紛争のない関係ではなく、労使が相互の権利を尊重しつつその対立・紛争を解決しようと努力するところに存在する。使用者による一方的な労働条件引き下げに対して、労働者のなかに不満が鬱積しているにもかかわらず、労働組合が団体交渉や争議行為によって対抗しないという状態があれば、その方がよほど不健全なのである。」(西谷敏著「労働組合法 第3版」、42頁~43頁)