7/23 参院選が終わって。

Category - ブラック企業問題, 最近のニュースから 作成者:友弘 克幸

参院選の翌日(7月22日)、以前に注文していた「POSSE」の最新号(VOL19)が私の手元に届きました。

そこに、「各政党に聞くブラック企業政策」というインタビュー記事が掲載されていました。

そこで、今回は、次の国会で、私が雇用の分野でぜひ優先して実現してほしいと思っている3つのことについて、述べたいと思います。

本当はもちろんほかにもたくさんあるのですが、細かいことを言いだすときりがないので、あえて3つに絞りました。

第一、労働時間の上限を法律で明記し、罰則付きで規制すること。

第二、インターバル規制を導入すること。

第三、労働基準監督官を増員すること。

以下、順に説明します。

★第一 労働時間の上限を法律で明記し、罰則付きで規制すること。

労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間、週40時間を超えてはならないと定められています(労働基準法32条)。

また、使用者は労働者に対して、毎週1日以上、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないとされています(労働基準法35条)。

ところが、労働基準法36条1項によると、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(そのような労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)と書面で協定を結べば、その協定で定める範囲に限り、上記の規制を超えて、労働時間を延長したり休日に労働させたりすることが認められています。

労働基準法36条に基づく、ということで通称「サブロク協定」と呼ばれていて、現実に大多数の職場でサブロク協定に基づいた残業・休日出勤が行われています。

では、サブロク協定で定める時間外労働についての「上限」はあるのでしょうか。

実は、労働基準法じたいには「上限」は明記されておらず、労働基準法36条2項で、次のように定められています。

厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。

この規定に基づいて、厚生労働大臣が「基準」を定めており(平成10.12.28労働省告示154号)、そこでは、時間外労働の上限(「限度時間」と呼びます)がいちおう示されています。

ところが、現行法では、サブロク協定で定められた上限が「限度時間」を超えるものであっても、労働基準監督署が「必要な助言および指導」を行うことができるだけで(労基法36条4項)、使用者に罰則が課されるわけではありません。

しかも、告示自体も、3条1項ただし書きで、

「ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る。)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨及び限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定める場合は、この限りでない。」

という例外を認めてしまっているので、事実上、

労働時間の上限は野放し状態

です。

私の提案は、サブロク協定に基づく時間外・休日労働の限度を、きちんと労働基準法に明記したうえ、それに反するサブロク協定を結んだり、実際に法で定める限度を超えて労働者に労働させた使用者には、

罰則を課する

という形で、規制の実効性を担保するように法改正を行うべきです。

POSSEのインタビューでは、社民党の福島みずほ参議院議員が、

やはりどこかで長時間労働の規制をもっとしっかりやらなければなりません。」

と述べていました。

★第二 「(勤務間)インターバル規制」の導入

昨年4月、関越自動車道で高速バスが居眠り運転事故を起こし、防音壁に激突して乗客7名が死亡するという痛ましい出来事がありました。

その際に長距離運転手の労働時間が長すぎるのではないか、という問題が指摘されたことは記憶に新しいところです。

その後、長距離運転手の運転時間規制について若干の見直しがなされたようですが、現在でも、先日の朝日新聞の報道などによると、特に長距離トラックの運転手などでは、一つの仕事を終えたあと、ごく短時間の休息しかとらずに、すぐに次の仕事につく、という実態があるようです。

しかし、一定時間就労したら、いったん家に帰って、ゆっくり休息を取って、心身ともにリフレッシュしてから再び仕事に向かう、というのが人間として当たり前の生活のはずです。

また、特に自動車運転の業務などで明らかだと思いますが、十分な休息を取らず、疲労が蓄積した状態で次の仕事につくということになると、居眠り運転などの事故が起こりやすくなり、労働者本人のみならず、乗客など消費者の側にも重大な危険が及ぶおそれがあります。

このような考え方から、EU(ヨーロッパ連合)では、ある日の勤務と次の勤務との間に、最低11時間の「休息時間」を設けなければならない、とする基準(2003年労働時間指令3条)を設けているそうです。

これを「(勤務間)インターバル規制」と呼ぶそうですが、日本でも早急に導入すべきです。

POSSEのインタビューでは民主党の山井和則衆議院議員

いったん仕事から離れたらしばらくインターバルをおいてから働くべきだ、とかこうしたことも検討すべきだと思っています」と述べていました。

★第三 労働基準監督官の増員

労働基準監督官の仕事については別のブログでも紹介しましたが、

現場では圧倒的に人手が足りていないようです。

労働基準監督官の人手が足りていないということは、日本に何千、何万とある企業に対して、「労働基準法を守りなさい」という最低限の指導・取締りにすら十分にできていない、ということを意味します。

POSSEのインタビューでは共産党の小池晃副委員長

(今回の参院選で当選されたのですが、インタビュー当時は参院選前だったので、この肩書にしておきます)

が、「労働基準監督官は抜本的増員が必要です」と述べ、

また、公明党の谷合正明参議院議員も、

労基法が守られていない実態があります。

労基署の機能強化は必要だと思います」と述べていました。

★以上、私が最優先すべきと考えている3つのことについて述べました。

各党のみなさん、期待していますよ。

★9/10補足

なお、「インターバル規制」については、こちらもご覧ください。