2013/7/9 労働基準監督官のお仕事

Category - 書評 作成者:友弘 克幸

雑誌「POSSE」VOL.18 で、

なぜ労基署は「使いにくい」のか?

―労働基準監督官に聞く、労基署の実態と「正しい」使い方

という記事を読みました。

現役の労働基準監督官2名へのインタビュー記事です。

労働基準監督官は、労働基準法に基づいて使用者を取り締まる「警察官」の役割を果たす官職です。

労働基準法を守らせるのが仕事ですので、そのために必要であれば、事業場内に立ち入って調査をしたり(これを「臨検(りんけん)」といいます)、使用者に帳簿・書類の提出を求めたり、尋問をしたりする権限が付与されています(労働基準法101条)。

また、労働基準法違反の罪(賃金不払いなど)については司法警察員の職務を行うことになっているので(労働基準法102条)、警察官と同様に、裁判官の発した令状に基づいて、捜索差し押さえ(いわゆる「ガサ入れ」)をしたり、被疑事実によっては事業主を逮捕することだってできます。

そのほかにも、労災請求があったときに、労災に当たるかどうかを調査するという仕事などもしています。

以上のように、労働基準監督官の仕事はとても重要なものを含んでいるのですが、その仕事ぶりについて監督官自身が発言する機会は少なく、仕事ぶりもあまり知られていないように思います。

それだけに、このようなインタビューはとても貴重で、興味深く読みました。

印象深かったのは、労働基準法を守らせることを仕事にしている監督官らが、

「法律上の限界を感じたケースはありますか」と問われて、

「山ほどあります。」

と答えているところです。

労働基準法や労働安全衛生法の規定の中には、条文が複雑だったり、実効性が乏しかったりして、「労働者にとって縁遠いものになってしまっている」ものがあるというのです。

労働基準法のプロである監督官の発言だけに、とても重い発言だと思いました。

 

ちなみに、労働基準監督官の仕事を題材にした(ちょっと珍しい)マンガに、

「ダンダリン101」

(原作:とんたにたかし、漫画:鈴木マサカズ、2010年、講談社)

というのがあります。

「ダンダリン」は主人公の監督官の名前(段田 凜)、

「101」は、労働基準監督官の権限について定めた労働基準法101条の意味です。

漫画ですから多少の誇張やデフォルメはあると思いますが、

労働基準監督官の仕事についてイメージを持つにはちょうどよい作品だと思います。

★7/25補足

参院選に関連して別のブログでも書きましたが、

「ブラック企業対策」として国が行うべき最優先の政策は、全国で蔓延する労働法違反をバシバシ取り締まるために、

労働基準監督官の数を増やすことだと思います。

労働基準監督署の職員自身が、膨大な労災調査業務をこなすために、サービス残業をしている」 なんて、笑えない報道もあります。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120320/wec12032018000005-n1.htm

何とかしなくちゃいかんでしょ。

★補足(8/13)

「ダンダリン101」がドラマ化されるそうです。→詳しくは、こちら