7/9 婚外子(非嫡出子)の相続格差で最高裁弁論

Category - 最近のニュースから 作成者:友弘 克幸

明日(2013年7月10日)、最高裁判所の大法廷で、注目すべき弁論(裁判の当事者双方の意見を口頭で聞く手続)が開かれるようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130708-00000086-san-soci

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130629/trl13062921570004-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130227/trl13022720050001-n1.htm

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/665877/

問題となっているのは、非嫡出子(婚外子)の相続分について定めた「民法900条4号ただし書き(前段)」が、「法の下の平等」を定めた憲法14条1項に反しないか、という論点です。

(法定相続分)

民法第900条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

1~3号(略)

4 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

日本国憲法 第14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

上記の条文のとおり、民法900条4号本文によると、「子」が複数人あるときは、その親の相続に関しては原則として平等な取扱いを受けることになっています。

長男だからといって多くもらえるとか、女子だから少なくなるといったことはありません。

ところが、4号ただし書き(前段)によると、「嫡出でない子」つまり、婚姻関係にない男女の間に生まれた子(婚外子)については、「嫡出子」つまり婚姻関係にある男女の間に生まれた子と比べて、相続分が半分にされてしまいます。

仮に亡くなった方が3億円の遺産を残したとして、子ども2人だけが相続人だというケースで、2人とも嫡出子であれば、1億5000万円ずつ平等に相続できます。

ところが、1人が嫡出子、もう1人が婚外子の場合だと、嫡出子が2億円、婚外子が1億円という相続になってしまうわけです。

この規定が憲法14条1項に反する、という見解は学説ではかねてから強く主張され、国際的にも是正を求められていましたが、最高裁判所は平成7年7月5日の大法廷判決で

「現行民法は法律婚主義を採用している」

「相続制度をどう定めるかは立法府(国会)の合理的な裁量判断にゆだねられており、本件規定は立法府(国会)に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えていない」

として合憲と判断しました。

その後も、小法廷でいくつか判決が出ましたが、いずれも結論は「合憲」でした。

今回の大法廷弁論が注目されるのは、

裁判所法10条 で、次のように定められているからです。

事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。

1 当事者の主張に基づいて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)

民法900条4号ただし書き(前段)は合憲」とする判断をするのであれば、平成7年の大法廷判決と同じですので、大法廷で裁判を扱う必要はありません(1号カッコ書き)。

逆にいうと、最高裁は、平成7年の合憲判断を見直そうとしているからこそ、大法廷に事件を回付したのではないか、と推測されます。

ということは、今度の大法廷判決では、いよいよ「民法900条4号は憲法に違反する」という判決が出される可能性が高いということです。

★補足(8/28)→こちら