11/21 国家戦略特区法案、衆院通過
国家戦略特別区域法案(国家戦略特区法案)が衆議院を通過したようです(NHK)。
法案はこれ。
労働に関する部分は、36条と、附則2条1~3項のようです。
10月18日に開かれた「日本経済再生本部」で配られた
「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針(案) 」
に沿った内容ということなんでしょうね。(検討方針案についてはこちら)
検討方針案で「雇用労働相談センター(仮称)」「雇用ガイドライン」とされていたものが、36条1項・2項の「事業主に対する援助」のようです。
附則2条1~3項も「検討方針案」ほぼそのままですね。
2013年4月1日に施行されたばかりの労働契約法18条が
「有期雇用更新5年超で無期契約への転換権を付与する」
と定めたわけですが、この要件を「10年超」に改悪するために、
この11月~12月に労働政策審議会で形ばかりの意見を聞いて、
来年1月の通常国会に提出してしまいましょう、ということなんでしょう。
「いつでも首を切れる(雇止めできる)使い勝手の良い有期雇用」を何としても温存させたいという、経営者側の要求に応じようとする附則としか思えません。
民主党が、なぜ、あっさりこんな法案に賛成してしまうのか、理解に苦しみます。
第36条(個別労働関係紛争の未然防止等のための事業主に対する援助)
国は、国家戦略特別区域において、個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第一条に規定する個別労働関係紛争をいう。次項において同じ。)を未然に防止すること等により、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業の円滑な展開を図るため、国家戦略特別区域内において新たに事業所を設置して新たに労働者を雇い入れる外国会社その他の事業主に対する情報の提供、相談、助言その他の援助を行うものとする。
2 前項に規定する情報の提供、相談及び助言は、事業主の要請に応じて雇用指針(個別労働関係紛争を未然に防止するため、労働契約に係る判例を分析し、及び分類することにより作成する雇用管理及び労働契約の在り方に関する指針であって、会議の意見を聴いて作成するものをいう。)を踏まえて行うものを含むものでなければならない。
3 内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、国家戦略特別区域会議に対し、当該国家戦略特別区域会議に係る国家戦略特別区域における第一項に規定する援助の実施状況に関する情報を提供するものとする。
4 国家戦略特別区域会議は、第一項に規定する援助の実施に関し、内閣総理大臣及び関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
附則第2条 (検討)
政府は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成の推進を図る観点から、一定の期間内に終了すると見込まれる事業の業務(高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とするものに限る。)に就く労働者であって、使用者との間で期間の定めのある労働契約を締結するもの(その年収が常時雇用される一般の労働者と比較して高い水準となることが見込まれる者に限る。)その他これに準ずる者についての、期間の定めのある労働契約の期間の定めのない労働契約への転換に係る労働契約法(平成19年法律第128号)第18条第1項に規定する通算契約期間の在り方及び期間の定めのある労働契約の締結時、当該労働契約の期間の満了時等において労働に関する法令の規定に違反する行為が生じないようにするために必要な措置その他必要な事項であって全国において実施することが適切であるものについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置(第3項において「特定措置」という。)を講ずるものとする。
2 厚生労働大臣は、前項の規定による検討を行うに当たっては、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
3 政府は、特定措置を講ずるために必要な法律案を平成26年に開会される国会の常会に提出することを目指すものとする。
★補足(12/8)
参議院で可決、成立したようです。→こちら