自転車同士の一時停止交差点での事故の過失割合は?
自転車同士の一時停止交差点での交通事故の過失割合を解説します。
自転車も一時停止交差点で一時停止する義務があり、基本的には一時停止側の自転車の過失が重くなります。
自転車同士の交通事故の過失割合については、「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」(赤本 下巻 参考⇒日弁連交通事故相談センター )というものを参考にして検討していくことが多いため、以下ではこれを踏まえた解説を行っていきます。
自転車の一時停止の義務
自転車も一時停止の指定のある交差点では一時停止をする義務があります。
道路交通法43条は、「車両等」は一時停止交差点の停止線の直前で一時停止しなければならないとしており、自転車も「車両等」にあたるため一時停止の義務があるのです。
一時停止のある十字路交差点の事故
事故の類型
一方に一時停止の規制がある十字路交差点で、直進する自転車同士が出会頭に衝突した事故の過失割合です。
基本過失割合
A一時停止の規制なし | B一時停止の規制あり |
30% | 70% |
一時停止側の自転車が70%、一時停止ではない側の自転車が30%というのが基本の過失割合とされます。
自転車も一時停止の義務があるため、大きな差がある過失割合とされているのです。
修正要素
自転車事故の過失割合では、基本過失割合を「修正要素」で修正するという考え方がとられます。
以下で修正要素の一部を紹介します。
- Bの一時停止・・・Aの過失割合+20%
- Aの左側通行義務違反・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの通行禁止の歩道通行・・・Aの過失割合+10~20%
- Bの左側通行義務違反・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの通行禁止の歩道通行・・・Bの過失割合+10~20%
Bが一時停止をして一時停止義務を果たしていたときは、AもBの存在に気付くことができたといえますし、20%の修正が行われます。
また、左側通行義務違反が認められるときには10~20%の修正を行うとされており、左側通行を行わないことにより事故発生の危険を高めた程度を踏まえ修正されることになります。
参考になる裁判例
裁判例①
裁判例②
一時停止のある丁字路交差点の事故
事故の類型
丁字路交差点で、右(左)折をする自転車の側に一時停止の規制がある場合の事故の過失割合です。
基本過失割合
A直進車(規制なし) | B右左折車(規制あり) |
25% | 75% |
一時停止義務だけでなく、右左折する際の注意義務も課せられるため、右左折車と直進車に大きな差のある基本過失割合とされています。
修正要素
基本過失割合を修正する修正要素について一部を紹介します。
- Bの一時停止・・・Aの過失割合+20%
- Aの左側通行義務違反・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの通行禁止の歩道通行・・・Aの過失割合+10~20%
- Bの左側通行義務違反・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの通行禁止の歩道通行・・・Bの過失割合+10~20%
Bが一時停止をして一時停止義務を果たしていたときは、AもBの存在に気付くことができたといえますし、20%の修正が行われます。
また、左側通行義務違反が認められるときには10~20%の修正を行うとされており、左側通行を行わないことにより事故発生の危険を高めた程度を踏まえ修正されることになります。
参考になる裁判例
裁判例①
まとめ
自転車同士の一時停止交差点での事故については、基本的に一時停止側の自転車の過失が重いとされていますが、修正要素により過失割合が修正される可能性があるため、刑事記録等で詳細な事故態様や事故現場の状況を把握することが重要といえます。
一時停止のある交差点の事故でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。