自転車同士の交通事故の過失割合の考え方と事例は?
裁判所が自転車同士の事故の過失割合について判断した事例を紹介しながら、過失割合の基本的な考え方について解説していきます。
自転車同士の交通事故の事故状況は様々であるため、裁判所が過去に類似の事故でどのような判断をしたかはとても参考になります。
自転車事故の過失割合は、自転車事故がどのような状況であったかを明らかにし、それを踏まえてどのような割合になるか判断するという考え方をします。
自転車同士の交通事故の過失割合でお悩みの方は参考にしてください。
以下では、「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」にある「基本過失割合」と「修正要素」の一部を紹介し、裁判ではどのような判断がなされているかを解説しています。
自転車と歩行者の事故の過失割合については、『自転車と歩行者の事故の過失割合を事例で解説』で詳しく解説しています。
このページで解決するお悩み
- 自転車同士の事故の事例がわかる
- 自転車同士の事故の過失割合がわかる
進路変更した自転車による事故の事例
前方を走行する自転車が進路変更したことにより、後続する自転車と衝突したという事故の事例です。
自転車が進路変更するときには後方を確認する義務がありますので、基本的には前方自転車の過失が大きいとされます。
後ろから走行してきた自転車の速度など、色々な事情を考慮して過失割合が決められています。
裁判所がどのような事情を考慮して、最終的な過失割合を決定したか参考になります。
基本過失割合
後続車 | 先行車 |
40% | 60% |
自転車の場合は先行車が後方を確認するのが困難であり、一方で後方車は先行車との衝突回避が容易であるという特殊性を踏まえ、先行車60%対後行車40%とする考えが示されています。
修正要素
以下の事情が基本過失割合を修正する「修正要素」とされています(修正要素の一部を紹介しています)。
- Aの夜間無灯火・・・Aの過失割合+5~10%
- Aの先行車合図あり・・・Bの過失割合+10%
- Bの側方間隔不十分・・・Bの過失割合+10~20%
後続車の側方間隔不十分というのは、後続車が近くを走行しすぎていた場合のことで、安全な距離を保っていなかったことを理由に過失があると判断されるものです。
裁判例
①前方自転車が進路変更し追越し自転車と接触した事故【過失割合40対60】
大阪地裁平成31年3月22日判決
前方を走行する自転車が進路変更し、後方から追い抜こうとする自転車と接触したという、自転車同士の事故です。
②追い抜き自転車と右方へ進路変更した自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合40対60】
東京地裁平成29年3月7日判決
車道において、右斜め後方を走行していた自転車が前方自転車を追い抜こうとしたところ、前方自転車が車道を横断するため右方へ進行したため衝突したという、自転車同士の事故です。
③横断歩道を途中から右折した自転車と、横断歩道通過自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合70対30】
東京地裁平成25年10月29日判決
横断歩道を横断中に右折した自転車と、左側から進行してきて横断歩道を通過した自転車が衝突した、自転車同士の事故です。
④歩道上で同一方向へ進行する自転車同士が接触した事故【過失割合30対70】
東京地裁平成21年6月17日判決
歩道上を進行する自転車が、左折するため左へ進路変更をしたところ、左後方を走行していた自転車と接触したという、自転車同士の事故です。
⑤歩道上で先行自転車が急に左折し後行自転車が衝突した自転車同士の事故例【過失割合80対20】
大阪地裁平成24年9月21日判決
歩道上で先行自転車が合図なく急に左折し、後行自転車が進路をふさがれて衝突したという、自転車同士の事故です。
追い抜きによる自転車同士の事故の事例
前方の自転車を追い抜く際に、先行する自転車と後続の自転車が衝突したという事故の事例です。
後続の自転車に大きな過失が認められるというのが基本的な考え方ですが、先行自転車の動き等を踏まえて過失割合が決められています。
基本過失割合
先行車 | 後続車 |
0% | 100% |
追抜車と被追抜車の事故については、自動車同士の事故とは異なり先行車に20%もの過失を認めるのは相当でないとして、基本過失割合を0%対100%とする考えが示されています。
前方の自転車としては、いきなり追い抜かれて衝突事故が発生するわけですから、基本的に過失がないとされるのです。
修正要素
以下の事情が基本過失割合を修正する「修正要素」とされています(修正要素の一部を紹介しています)。
- Aの先行車のふらつき・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの夜間無灯火・・・Aの過失割合+5~10%
- Bの追抜危険場所・・・Bの過失割合+10%
- Bの夜間無灯火・・・Bの過失割合+5~10%
先行者のふらつきについてですが、自転車は多少は左右に揺れながら走行する乗り物なので、一般的な自転車の走行とは異なる大きなふらつきであることが求められています。
裁判例
①追い抜き後の右折により自転車同士が衝突した事故【過失割合0対100】
名古屋地裁平成29年1月27日判決
同一方向に走行する自転車同士の事故であり、後行する自転車が先行する自転車を追い抜き、右折をするためハンドルを右に切ったところ、先行していた自転車の進路を塞ぐ状態となってしまい両車が衝突したという、自転車同士の事故です。
東京地裁平成27年3月15日判決
自転車が直進していたところ、後方から走行してきた自転車が横に並び、両車が接触して転倒したという、自転車同士の事故です。
③横断歩道上で高齢女性の自転車を後行の自転車が追い抜く際に衝突した自転車同士の事故【過失割合50対50】
大阪地裁平成25年6月18日判決
横断歩道上を先行する80歳女子の運転する自転車が右側にぶれ、追い抜こうとしていた後行の自転車が衝突した、自転車同士の事故です。
④歩道上で先行自転車の前輪と追い抜き自転車の後輪が接触した自転車同士の事故【過失割合50対50】
大阪地裁平成25年2月7日判決
歩道上で同一方向に進行する自転車同士の接触事故であり、追い抜かれた自転車が左に進路変更したため、先行自転車(追い抜かれた自転車)の前輪左側面部が、後行自転車(追い抜いた自転車)の後輪右側面部に接触したという、自転車同士の事故です。
⑤二人乗り自転車と追い抜き自転車が接触した自転車同士の事故【過失割合40対60】
東京地裁平成22年1月12日判決
歩道において先行する二人乗り自転車を、後方から走行してきた自転車が追い抜こうとしたところ、先行自転車がふらついたため両車が接触した、自転車同士の事故です。
⑥歩道上を同一方向に進行する自転車同士が衝突した事故【過失割合0対100】
東京地裁平成26年3月12日判決
歩道上を同一方向に進行する自転車同士が衝突した、自転車同士の事故です。
正面から走行してくる自転車同士の事故の事例
対向する自転車同士が正面から衝突する事故の事例です。
対向する自転車同士の事故は、基本的には50%対50%とした上で、修正要素により修正するという考え方がとられています。
裁判例をみますと、対向車同士ということで50%対50%としているものもあれば、両自転車の動き等を踏まえて差をつけているものもあります。
基本過失割合
直進車 | 直進車 |
50% | 50% |
基本過失割合は50%対50%とされ、これを修正する要素がないか検討することになります。
修正要素
以下の事情が基本過失割合を修正する「修正要素」とされています(修正要素の一部を紹介しています)。
高速度走行については、実況見分調書から読み取れる両車の移動距離などから立証することが考えられます。
- Aの夜間無灯火・・・Aの過失割合+5~10%
- Aの高速度走行・・・Aの過失割合+10%
- Bの夜間無灯火・・・Bの過失割合+5~10%
- Bの高速度走行・・・Bの過失割合+10%
対面事故で過失割合が大きな争いになるケースとして、無灯火、高速度走行、二人乗り、スマホながら運転といったものがあります。
裁判例
①自転車同士が幅の狭い道路ですれ違った際の接触事故【過失割合40対60】
大阪地裁平成30年11月16日判決
自転車同士が狭い道路ですれ違おうとして接触したという、自転車同士の事故です。
②無灯火二人乗り自転車と、時速約20㎞で走行した自転車が正面衝突した自転車同士の事故【過失割合40対60】
大阪地裁平成28年9月16日判決
車道上において、無灯火二人乗りの自転車と、時速約20㎞で走行する自転車が正面衝突した、自転車同士の事故です。
③自転車同士の正面衝突で、一方が無灯火、右側走行であった事故【過失割合30対70】
岡山地裁平成25年 3月21日判決
夜間、前照灯を点灯させて走行する自転車と、前照灯を点灯させず、道路右側を走行する自転車が正面衝突をした、自転車同士の事故です。
④路側帯内で対向自転車同士が衝突した事故【過失割合30対70】
東京地裁平成24年5月11日判決
道路の路側帯を通行する自転車が対向自転車と衝突したという、自転車同士の交通事故です。
⑤自転車同士の正面衝突事故でスマホを操作していた事故【過失割合30対70】
大阪地裁平成30年3月22日判決
自転車と自転車が、歩道において正面から衝突したという、自転車同士の事故です。
⑥歩道上で直進自転車と無灯火自転車がすれ違うときに接触した事故【過失割合40対60】
大阪地裁平成30年10月30日判決
歩道において、自転車が直進していたところ、対向する無灯火の自転車と衝突したという、自転車同士の事故です。
⑦店舗前の歩道において自転車同士が正面衝突をした事故の裁判例【過失割合45対55】
東京地裁平成24年3月16日判決
店舗前の歩道において、自転車を運転して駐輪スペースを探し、スペースを発見したためハンドルを少し左に向けたところ、前方から走行してきた自転車と衝突したという、自転車同士の事故です。
東京地裁平成20年7月8日判決
歩道上を走行していた自転車が、対向自転車との接触を避けようとしてハンドルを切ったところ、雨で路面が濡れていたこともあり転倒したという、自転車同士の事故です。
自転車同士が一時停止のある交差点で衝突した事故の事例
自転車同士が一時停止のある交差点で衝突したという事故の事例です。
一時停止側の自転車の過失が大きいとされますが、これをどの程度考慮し、その他の事情をどのように考慮して過失割合を決めたのか参考になります。
交差点の形状や、見通しの悪さなども考慮されているものがあります。
基本過失割合
A一時停止の規制なし | B一時停止の規制あり |
30% | 70% |
一時停止の規制がある側の自転車が70%、一時停止の規制がない側の自転車が30%の過失割合とされます。
自転車の一時停止について日ごろ意識されていない方も少なくないと思いますが、過失割合について検討するときには非常に重視されてしまいます。
修正要素
以下の事情が基本過失割合を修正する「修正要素」とされています(修正要素の一部を紹介しています)。
- Bの一時停止・・・Aの過失割合+20%
- Aの左側通行義務違反・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの通行禁止の歩道通行・・・Aの過失割合+10~20%
- Bの左側通行義務違反・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの通行禁止の歩道通行・・・Bの過失割合+10~20%
自転車が一時停止をしてから進行したときには、相手からも発見が容易であったとして20%の修正が行われることになっています。
裁判例
①自転車同士の出会い頭の衝突事故で一時停止違反があった事故【過失割合70対30】
大阪地裁平成10年10月1日判決
自転車同士が交差点で出合い頭に衝突したという、自転車同士の事故です。
②一時停止違反の左折自転車と直進自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合25対75】
東京地裁平成25年4月23日判決
交差点において、一時停止の表示があるにもかかわらず一時停止をせずに左折した自転車と、前方のカーブミラーを見ることなく直進した自転車が衝突した、自転車同士の事故です。
③交差点における自転車同士の出合い頭の衝突事故【過失割合5対95】
東京地裁平成27年9月25日判決
交差点において自転車同士が出合い頭に衝突したという、自転車同士の事故です。
右左折する自転車が交差点で衝突した事故の事例
交差点で左折する自転車、右折する自転車による衝突事故の事例です。
自転車が交差点を右左折するときには安全確認が強く求められるため、直進自転車よりも過失が重いとされるのが基本的な考え方です。
基本過失割合
A直進車 | B右(左)折車 |
40% | 60% |
右左折自転車の過失が60%、直進自転車の過失が40%とされています。
自転車が交差点で右左折する際の注意義務があるため、直進車よりも過失が重いとされています。
修正要素
以下の事情が基本過失割合を修正する「修正要素」とされています(修正要素の一部を紹介しています)。
- Aの左側通行義務違反・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの通行禁止の歩道通行・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの高速度進入・・・Aの過失割合+10%
- Bの左側通行義務違反・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの通行禁止の歩道通行・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの高速度進入・・・Bの過失割合+10%
左側通行義務違反については、交差点の状況も踏まえてどれだけ危険な走行といえるか考慮することになっています。
裁判例
①直進自転車と右折自転車が見通しのよくない交差点で衝突した事故の裁判例【過失割合40対60】
東京地裁平成29年12月26日判決
見通しのよくない交差点で、直進自転車と右折自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
②丁字路交差点で自転車同士が衝突した事故【過失割合65対35】
名古屋地裁平成29年11月1日判決
丁字路交差点において、交差点へ右折侵入した自転車と、広路を直進進入した自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
③自転車同士の出会い頭の衝突事故で、一方が高速度で直進していた事故【過失割合40対60】
大阪地裁平成29年1月31日判決
マンション敷地内通路での出会い頭の衝突事故であり、原告自転車が右折進行し、被告自転車が直進進行していたという、自転車同士の事故です。
④直進自転車と左折三輪自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合70対30】
東京地裁平成28年2月15日判決
丁字路交差点において、直進する自転車と、左折進行する三輪自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
⑤直進自転車と、前方交差点を右折進行してきた自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合0対100】
名古屋地裁平成20年2月29日判決
見通しの悪い交差点の手前において、直進する自転車と、交差点を右折して進行してきた自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
⑥丁字路において右折自転車と左折自転車が出合い頭に衝突した自転車同士の事故【過失割合50対50】
東京地裁平成7年9月26日判決
丁字路交差点において、右折自転車と左折自転車が出合い頭に衝突した、自転車同士の事故です。
⑦Y字交差点において自転車同士が衝突した事故の裁判例【過失割合75対25】
東京地裁平成6年10月18日判決
Y字交差点において左折自転車と右折自転車が出合い頭に衝突したという、自転車同士の事故です。
⑧左折自転車と直進自転車が出会頭に衝突した自転車同士の事故【過失割合50対50】
東京地裁平成25年10月28日判決
T字路交差点において,左折自転車と直進自転車が出会頭に衝突した、自転車同士の事故です。
直進する自転車同士の交差点の事故の事例
交差点で直進する自転車同士が衝突した事故の事例です。
出合い頭の衝突事故として50%対50%になるとも思われますが、具体的な事情から過失割合に差をつける判断をする裁判例が少なくありません。
基本過失割合
A左方車 | B右方車 |
45% | 55% |
信号、一時停止規制のない同幅員の交差点において、自転車運転者は左方優先のことを知らない者もいることから(自転車運転は免許制ではないため)、左方車を45%、右方車を55%とし、丁字路交差点では40%対60%とする考えが示されています。
修正要素
以下の事情が基本過失割合を修正する「修正要素」とされています(修正要素の一部を紹介しています)。
- Aの左側通行義務違反・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの通行禁止の歩道通行・・・Aの過失割合+10~20%
- Aの高速度進入・・・Aの過失割合+10%
- Bの左側通行義務違反・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの通行禁止の歩道通行・・・Bの過失割合+10~20%
- Bの高速度進入・・・Bの過失割合+10%
左側通行義務違反については、警察が作成した実況見分調書から証明することが考えられます。
裁判例
①傘差し自転車同士が見通しの悪い交差点で衝突した事故の裁判例【過失割合40対60】
大阪地裁平成29年6月20日判決
見通しの悪い交差点において、傘を差した自転車同士が衝突したという、自転車同士の事故です。
②交差点を赤信号で横断した自転車と、赤点滅信号で進入した自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合85対15】
大阪地裁平成28年4月14日判決
信号の設置された交差点において、歩行者・自転車用信号が赤信号で横断歩道の横断をした自転車と、車両用信号が赤点滅信号で交差点に進入しようとした自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
③見通しのきかない交差点において自転車同士が衝突した事故【過失割合10対90】
東京地裁平成25年6月27日判決
見通しのきかない交差点において自転車同士が衝突したという、自転車同士の事故です。
④自転車同士の交差点における非接触事故【過失割合70対30】
東京地裁八王子支部平成13年 6月14日判決
自転車が交差点に進入したところ、交差道路から進入してきてきた自転車を避けようとして転倒したという、自転車同士の非接触の事故です。
⑤カーブミラーの設置された交差点で自転車同士が出会い頭に衝突した事故【過失割合50対50】
千葉地裁平成25年4月25日判決
見通しの悪い交差点において、道路右側を走行する自転車と、道路のほぼ中央を走行する自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
⑥自転車同士の出会頭の衝突事故で一方が傘を差していた事故【過失割合70対30】
東京地裁平成26年4月30日判決
交差点において自転車同士が出会頭に衝突した交通事故で、一方が傘を差しながら運転していたものであり、自転車同士の事故です。
道路へ進入した自転車の事故の事例
道路外から車道や歩道へ進入した自転車による事故の事例です。
基本的には道路外から進入してきた自転車の過失が重いとされますが、事故現場の状況や両車の動きも考慮した判断が行われます。
裁判例
①車道を走行する自転車に、歩道から車道に進入してきた自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合50対50】
東京地裁平成20年6月5日判決
車道を直進していた自転車に、歩道から車道に進入してきた自転車が正面から衝突したという、自転車同士の事故です。
②車道から歩道に進行した自転車と、横断歩道横断直後の自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合20対80】
大阪地裁平成29年3月29日判決
歩道上において、車道から歩道へ進行した自転車と、横断歩道横断直後の自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
③歩道を進行する自転車の後輪に、路外から進出してきた自転車が接触した自転車同士の事故【過失割合10対90】
大阪地裁平成22年1月27日判決
歩道を進行中の自転車の後輪に、左側公園から侵入してきた自転車の前輪が接触し転倒した、自転車同士の事故です。
その他の事例
自転車事故には様々なものがあり、具体的な事情を踏まえた判断を行う必要があります。
裁判例
①先行自転車の急ブレーキにより後行自転車が追突した自転車同士の事故【過失割合70対30】
京都地裁平成24年3月7日判決
道路上において、前方を走行する自転車が落下した荷物を拾うため急ブレーキをかけ停車したところ、後方から進行してきた自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
②駐車車両の陰から横断した自転車と側方通過自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合25対75】
東京地裁平成22年12月15日判決
駐車車両の右側を走行していた自転車と、駐車車両の前方を横切って道路を横断しようとした自転車が衝突した、自転車同士の事故です。
③横断歩道へ進行する自転車に、時速約20㎞で疾走する自転車が衝突した自転車同士の事故【過失割合10対90】
横浜地裁平成23年12月26日判決
横断歩道に接続する部分の歩道から横断歩道を渡ろうと進行した自転車の右側方に、時速約20㎞で疾走する自転車が衝突したという、自転車同士の事故です。
④歩道上で信号待ちの自転車が、歩道内で前進し前方通過自転車と衝突した自転車同士の事故【過失割合10対90】
さいたま地裁平成23年10月5日判決
信号待ちの自転車が歩道上で停車し、車両用信号機が青から黄になったため歩道内で前進したところ、歩道上を走行し同車の前方を通過しようとした自転車と衝突したという、自転車同士の事故です。
まとめ
自転車事故の損害賠償請求では、慰謝料などの損害額が大きくても、被害者の過失が大きいと賠償金が減らされてしまいます。
自転車事故の過失割合が争いになったときは、弁護士に相談することをお勧めします。
西宮原法律事務所は自転車の交通事故に特に力を入れて取り組んでいますので、安心してお任せください。