不当解雇はどこに相談すべき?

弁護士への相談が最良

不当解雇されたときは、「弁護士」に相談するのが一番良いでしょう。

別の記事でも述べたように、「客観的に合理的な理由」を欠き、「社会通念上相当」と認められない場合は、解雇は「無効」となりますが(労働契約法第16条)、どのような理由があれば「客観的に合理的な理由」があるといえるのか、どのような場合に「社会通念上相当」なのか、といったことについては、条文には何も書かれていません。

不当解雇については、過去に膨大な数の裁判が起こされており、裁判所の判断が示されています。

ひとくちに不当解雇といっても、世の中にまったく同じ事件はありません。

個々のケースで「不当解雇」といえるかどうかを判断するためには、過去の類似の事例で裁判所がどのように判断してきたのかを踏まえて判断する必要があります。

そのような判断をもっとも適切にすることができるのは、なんと言っても弁護士が一番です。

特に、過去に不当解雇の労働審判・裁判を数多く手がけてきた経験のある弁護士ほど、「裁判官はこのようなケースでは、このような見方をする」ということを実体験として分かっていますから、労働審判・裁判でどのように判断される可能性が高いのか、見通しを立てやすいということがいえます。

 

不当解雇は労基署に相談できる?

労基署(労働基準監督署)は、本来、「労働基準法」違反などを取り締まる機関です。

不当解雇か否か、すなわち「解雇が労働契約法16条に照らして有効か無効か」という問題は、「労働基準法」違反などとは別の問題です。

したがって、少なくとも労基署の本来の役割からすれば、「不当解雇」の問題は、労基署の「守備範囲」外の問題といえます。

 

また、労基署に相談すると、「解雇予告手当(労基法20条)」を請求するようアドバイスされることがあります。

しかし、いったん自分から解雇予告手当を請求してしまうと、それは解雇を有効なものとして受け入れたと評価されるリスクが生じます。

そのような重大なリスクもあるため、弁護士としては、不当解雇だと感じた場合には、労基署ではなくまず弁護士に相談していただくほうが良いと考えています。

執筆者情報

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。

2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。

また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。