解雇に対する解決金(和解金)の相場は?

解雇に対する解決金(和解金)とは

解雇に対する解決金(和解金)とは、解雇をめぐる紛争を解決するために、使用者が労働者に支払う金銭のことです。

不当解雇をされた労働者は、雇用の継続を主張するとともに、解雇後の賃金の支払いを要求することができます(詳しくはこちら)。

しかし現実には、実際に労働者が職場復帰することは少なく、ほとんどの紛争は、使用者が紛争解決のために一定の金銭を支払うのと引き替えに、労働者が退職を受け入れる形で解決しています。

この、使用者が紛争解決のために支払う金銭のことを、一般に「解決金」とか「和解金」などと呼んでいるわけです。

不当解雇に対する解決金(和解金)に「相場」はある?

インターネットを見ていると、「不当解雇の解決金の相場は月給の〇カ月分~〇カ月分」などと書かれている記事を目にすることがあります。

しかし、一口に不当解雇といっても、誰が見ても明らかな不当解雇から、不当解雇と言えるかやや微妙な事案まで、様々なものがあります

また、実際の解決金の金額は、①在職中に受け取っていた賃金(給与)の金額、②勤続期間の長短、③解雇されてから解決するまでの期間の長さなど様々な事情を踏まえて調整されているという側面もあります。

さらには、不当解雇だけでなくパワハラがある場合にはその慰謝料、残業代の未払がある場合にはその金額など、不当解雇以外の事情も考慮されることがあります。

このため、いちがいに「〇カ月分~〇カ月分」と言うことは困難なのです。

JILPTによる調査報告書

とはいえ、一つのデータとして、独立行政法人労働政策研究研修機構(JILPT)という機関が、雇用終了に関する紛争について、労働審判・和解の実情を調査した報告書が公表されていますので、ここではその紹介をしたいと思います。

2023年4月25日にJILPTが公表した「労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析」によれば、2020年(令和2年)と2021年(令和3年)に、ある地方裁判所において調停または審判で終局した労働審判事案(785件)と、同裁判所において和解で終局した労働関係民事訴訟事案(282件)を調査した結果として、以下のようなデータが示されています。

労働審判の解決金  平均値 285万2637円 、中央値150万円

民事訴訟の解決金  平均値 613万4219円 、中央値300万円

ただし、全体の分布をみると、解決金額は低いものでは10万円未満、高いものでは5000万円以上のものまであります。

結局は、やはり事案ごとのばらつきが大きいと言わざるを得ないわけです。

執筆者情報

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。

2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。

また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。