不当解雇となるのはどのような場合ですか?

「解雇」とは、使用者が、その一方的な意思表示によって雇用契約(労働契約)を解約することを言います。

解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではありません。

解雇が「客観的に合理的な理由」を欠き、「社会通念上相当」と認められない場合は、解雇は「無効」となります(労働契約法第16条)。

客観的に合理的な理由」というのは抽象的な言い方ですが、平たく言えば、第三者(要するに裁判所)の目から見ても、「なるほど、そういう理由であれば雇用契約を一方的に終了させることとしても、やむを得ないな」と納得できるような理由、ということになります。

社会通念上相当」というのもまた抽象的なのですが、形式的にみればいちおう「客観的に合理的な理由」がある場合であっても、具体的な事情に照らすと、やはり解雇は行き過ぎではないか、といったような場合に、「社会通念上相当でない」として解雇が無効と判断される場合があるという意味です。

一般に「不当解雇」とは、そのような「合理的な理由」がないにも関わらず行われた解雇、あるいは、「社会通念上相当ではない」事情があるにもかかわらず行われた解雇のことを指して使われています。

 

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。

2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。

また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。