8/12 休業損害における基礎収入の認定

Category - 交通事故, 未分類 作成者:髙橋 裕也

 交通事故により怪我をして休業を余儀なくされ,その間に収入が得られなかったときは,休業損害としてその損害の賠償を請求することになります。

 休業損害は基礎収入に休業期間を乗じて算定するのですが,基礎収入の認定は給与所得者の場合は事故直前3か月の平均収入を用い,事業所得者の場合は原則として事故直前の申告所得額を基礎とし,申告所得額を上回る実収入額の立証があった場合には実収入額によることとされています。

 基礎収入の認定は,給与所得者の場合は分かりやすいのですが,事業所得者の場合は実収入額をめぐり争いになることも多く,また,収入を得ていた方法によって基礎収入の認定が困難となる場合もあります。

 自保ジャーナル№1899(2013年8月8日号)で紹介されていた大阪地裁平成24年12月26日判決では,原告が「パチプロ」として生計を立てていたとして,パチンコによる収入に基づき休業損害の請求をしたのですが,裁判所は以下のように判断しました。

 裁判所は「そもそもパチンコは,法制度上及び社会通念上は遊技であって労働でなく,そこで得られる景品も一時娯楽のためのものにすぎない」ことや,「通常の職業収入のような客観的資料がなく,稼働(遊技)実態や収入実態が不明確であるし」「受傷による稼働減と減収との関係も不明確である」ことから,「パチンコで収入を得ることが公序良俗に反するものとはいえないとしても,原告主張の休業損害をそのまま認めることはできない」として,原告(被害者)のパチンコによる収入を基礎収入として認めませんでした。

 そして,「原告が生活を維持していくためには月15万円程度の収入は必要であろうと考えられ,その程度の収入を得る労働能力は有していたと推認できることも考え併せれば,本件事故による休業損害を肯定した上,その基礎収入を月15万円,症状固定日までの約10か月半を通した平均要休業割合を50%とみるのが相当である」として,生活に必要な費用から逆算して原告(被害者)の基礎収入を認定しました。