2013/07/19 交通事故の裁判と実況見分調書について

Category - 交通事故 作成者:髙橋 裕也

 死傷者のいる交通事故が発生した場合,警察により実況見分が行われ,実況見分調書が作成されます(物損事故の場合は物件事故報告書が作成されます)。

 実況見分調書には,現場道路の状況や,事故車両の情報が記載されるとともに,立会人の事故状況についての指示説明が「交通事故現場見取図」の形で記録され,事故現場や事故車両の写真,立会人が事故状況について指示説明する様子などの写真が添付されます。

 交通事故現場見取図には,立会人が説明する「相手車を発見した地点」,「ブレーキをかけた地点」,「衝突した地点」などが書き込まれており,各地点間の距離も記録されています。

 交通事故の裁判で事故態様が争いとなっている場合,相手の主張する事故状況が不自然,不合理なものでないか実況見分調書を見ながら検討したり,相手の説明が事故直後から一貫しているか確認したりしますし(裁判で主張している事故状況と,実況見分で説明した事故状況が異なな場合,信用性に疑いをもたれることになります),尋問では実況見分調書の交通事故現場見取図を利用しながら答える場面が多いので,交通事故の裁判で実況見分調書は大きな役割を果たすことになります。

 実況見分調書は,事故状況が争いになったときに重要な証拠となりますので,実況見分のときには警察官にしっかりと事故状況を説明し,自分の言い分をきちんと聞いてもらうことが大切といえます。